茨木市・女性連続監禁致死「Mハイツ」

◆事件概要
2006年8月2日、茨木市総持寺駅近くのマンションで、一人の男が茨木警察署から事情聴取を受けた。その翌朝、彼は逮捕された。
イニシャルはT.M、42歳。マンションは彼の父親が経営する会社の所有物だった。逮捕された容疑は「逮捕監禁罪」。



逮捕されたきっかけはM自身が救急車の出動を要請する電話をかけたことだった。7月15日、Mの通報で部屋に駆けつけた救急隊員が見た20代の女性は、極度にやせ衰えており、身体中にアイロンでつけられたと見られる火傷があり、恐怖のあまり会話の受け答えすらできない状態だったという。
異常を判断して救急隊員は茨木署に通報、Mは任意同行を受けた結果逮捕に至った。
◆判明している監禁被害は女性6名+子供1名、うち1名死亡
11年前から、少なくとも6人の女性と2歳児の子供が1人、マンションに連れ込まれ、長いときは半年間も監禁され続けていた。
女性は「出会い系サイト」や「お見合いパーティー」で知り合った相手ばかりだった。Mは年齢や職業を偽り、35歳以上は参加できないにも関わらずお見合いパーティーに参加。 最初は甘い仮面を見せ女性をその気にさせて同棲生活に持ち込んだ。マンションは所有者の一家であるMが、空いた部屋を自由に使っていた。
女性を同居させたその時から彼は鬼のように豹変し、恐怖で心身を支配した。女性には食事も与えず暴力を振るわれ続け完全に抵抗する気力を殺ぎ落とさせた。

1997年には、交際女性(当時22歳・2歳の子供も一緒)がMと同居開始後に連絡が取れなくなった事を不審に思った親が部屋の場所を探し当て連れ戻しに来ようとしたケース(後に女性は隙を見て逃走)もあった。
また他の女性は食事を与えられぬまま体重が35キロにまで激減した人や、調味料を舐めながら飢えの苦しみをしのいだ人もいた。
そして2004年にはとうとうマンション室内で女性が変死する事件も起きた。この時はM本人が消防署に通報し、部屋で女性が死んでいることを伝えた。 警察は司法解剖した結果「凍死」であり事件性は無いと判断。捜査には及ばなかった。
1997年の母子監禁の一件でも刑事事件として十分立件できる話だが、それでも警察は動かなかった。
Mの逮捕直前まで監禁されていた女性の両親も、堺東署に再三捜査の要請を出していたが、 「事件性はない」として門前払いを食らわされていたままであった。

というわけで、事件の舞台となった「Mハイツ」のある、茨木市の阪急総持寺駅周辺を散歩してきました♪
◆阪急京都線・総持寺駅前
総持寺の町は、大阪・梅田から阪急電車京都線に乗り20分ほど、大阪府茨木市の東部にある。手前は茨木市駅、少し進むと高槻市に入る。北摂地域は大阪・京都、両都市のベッドタウンとなっているが、普通電車しか止まらない総持寺駅は京都に通うには少々不便である。
総持寺はその地名の通り、西国三十三所巡礼の二十二番目の寺「高野山真言宗 総持寺」がある町だ。

駅の周辺は細い路地しかなく、車で訪れるには不向きな場所だ。 駅前に降り立つといきなり景観を弁えない下品なパチンコ・パチスロ屋が左右両側に派手に建ち並び不快だが、一歩通りに入れば閑静な住宅街が立ち並ぶ。



駅の改札から徒歩5分程で総持寺へ。これから向かうマンションの禍々しい空気に触れる前に、気休めにだが訪れてみた。お盆休みの最中で、先祖供養に訪れてきた家族連れが何組か居た。
再び駅に戻り、今度は線路の南側へ出る。T.Mの根城であった「Mハイツ」があるのがこちらだ。駅北側とは打って変わって、駅前商店街があり賑やかな風景である。
◆総持寺駅前商店街
駅前商店街を道なりに歩いていく。ひと通り生活必需品が買えるほど店舗も充実していて、郊外であっても車無しでも不便を感じない町は過密都市の大阪らしい風景である。 茨木・高槻は沿線に大学のキャンパスもあって学生も比較的多い。


何の変哲もない平和な下町であるように見えるが、この町で事件は起きた。 実はMのマンションはこの商店街のそばにあるのだ。


商店街の脇からその建物の姿が見えた。 あれが「Mハイツ」である。
それにしても驚いたのはこの辺は総持寺駅周辺で一番人通りが多いこと。
商店街の端に出ると、往来の多い道路があり、その向こうが「ニッショースーパー」があって、大勢の買い物客がいるのだ。 ちょうど近所には公団住宅がずらりと立ち並んでいた。
◆Mハイツは町のど真ん中にあった
こんなところで人が監禁されていたなんて、と思うくらい、マンションの周りは人通りも多く車の往来も激しい。 真向かいはちょうどパチンコ屋で、さらにMハイツの隣がパチンコ屋の駐車場になっている。

いくら窓ガラスを目隠ししようが大声で叫んで助けを求めれば周囲に聴こえていたのではないのか。それができなかった状況があるに違いはないが、何で11年間放置されていたのだ。ますますわからん。

Mはこの一帯の大地主で、父親と伯父はそれぞれ建築・土木会社を経営していた(父親の会社は2001年に経営破たん)という、地元の有力者だった。向かいのパチンコ屋の土地はMの祖父の代に売ったものだという。

そんな町のど真ん中にあって、「Mハイツ」だけは不気味に生活の臭いを失った廃屋のような構えで立ち尽くしている。 マンションは4階建てで、1階はガレージと喫茶店用のテナントが1軒ある。当の昔に喫茶店は廃業してもぬけの殻だが、新しく入居する者もいない。
そこだけひと気のいない不気味で生気のない建物。こんな場所で商売をしようと考える経営者などいない。

喫茶店の横手を奥に入るとガレージとマンションのエントランスがある。

真昼間であっても光が届かず薄暗いエントランスの横には2階から4階までの住民の郵便ポストが置いてあるがどのポストも名前が書いておらずチラシ類が突っ込みっぱなしになっていた。40部屋が入居できる状態だが、そのうち7部屋にしか入居者はいないという。このことからして、このマンションの異常性を説明するのに十分事足りてしまう。
すぐ表の道路の喧騒から一歩中に入るだけで、もう別世界にひきずりこまれたかのような静けさ。確かに何かあっても誰も助けに来てくれなさそうな雰囲気がある。周りの町がごちゃごちゃしてるから余計に。これが町の死角というべきものだろう。
◆Mハイツの中に潜入
4階建てのMハイツにはエレベーターはない。2階から4階が住居部分だが、マンションの共用通路は屋内の真ん中にあるため外から人の行き来さえ見ることが出来ない。完全に外の世界から隔絶されているわけだ。
確かにこれが個人の所有物で自由に使えるのだとしたら、これだけ危険なことはない。

監禁事件の舞台となったことで、この場所から発せられる何とも形容しがたい瘴気がひしひしと伝わる。

2階の共用廊下の様子を見た後、3階に登ろうとすると、黄色テープで遮られた向こうに大阪府警の警官が見張りをしていた。職務質問を受けるのも面倒臭いので早々に撤収した。この3階はMが逮捕直前まで女性を監禁していた部屋のあるフロアだ。状況証拠を保全するために警官が見張っているのだろう。3階は他の入居者もいないようだ。
ハラハラしながらMハイツから外の世界に抜け出したとき、真向かいのパチンコ屋の上に立っている自由の女神が目に付いた。

ちょうど「Mハイツ」を見下ろす形で、その女神は見つめている。連続監禁事件で拘束されて不自由に苦しんだ女性達、それを見つめる「自由の女神」はあまりにも皮肉である。

もう一つ見つけたのが「Mハイツ」(ローズハイツに名称変更)の賃貸物件情報である。
さすがに駅前にしてはやけに相場がお値打ちな物件だが、ちょっと住みたくはない。

投稿者: 大阪民国案内人

ああそうや!また大阪か!悪かったな!