先日、大阪市浪速区の有名な旧同和地区の銭湯に入ってきた。

だいこく温泉

なにわ温泉


そこは大阪市からの補助金が投入されており、4階建てでエレベーターが付き、各階には車椅子ごと入れるトイレも完備されている。完全にバリアフリーに配慮しており、高齢者も安心して使える造りになっている。

だが、豪華に作っている反面、そこを利用する人の数はとても少ない。この地区の場合、近接する場所に同じ規模の公衆浴場がわずか250メートルの位置に2つもあるため、客の食い合いでどう見ても収益が上がっているように見えないからだ。民間事業ならこのロケーションで2つも同じ箱を作るのは絶対にあり得ない。

現状でははっきり言ってしまえば、同和行政に名を借りた無駄なハコモノ事業と批判せざるを得ない。

旧同和地区はかつての被差別部落の酷い生活環境を改善するために国や行政が動き公金をもって生活インフラを整備した地区のことである。だが大阪市の場合は運動団体の力が強すぎて、そこには暴力団までもが介入して行政に対し強権的に振舞った事も相まって凄まじい利権構造を作り上げた。

結果、大阪市内の旧同和地区は生活環境も十分に改善され、物理的なハンデはなくなっている反面、根本的な差別解消のための街づくりとは程遠い現状を呈している。もはや解放運動が目的ではなく利権存続が目的と化しているふりがある。

重厚なハコモノが立ち並ぶ一方で地区の高齢化や人口流出が激しく、どこの旧同和地区を見ても、そこに見かけるのは高齢者の姿ばかり。最も目立つのは介護・福祉関連の施設である。

だが、既に建ててしまったものにどうこう文句を付けるのも空虚な批判ではなかろうかと思う。ただでさえ無駄施設だらけで赤字体質の凄まじい大阪市。せっかくこれらの施設があるなら、それを有効に使うための手段を行政や運動団体は一生懸命考えるべきではないか。

そこで知恵がある。

大阪府高槻市のJR富田村踏切で、電動車椅子に乗った男性が遮断機が閉まった後の踏切内に取り残され、新快速列車にはねられ即死するという痛ましい事故があった。

大阪市外の自治体は軒並みバリアフリー施策が立ち遅れている。歩道すら整備されず、車椅子での移動が危険な場所も多い。高槻市では特にJRの線路を南北に移動する手段がとても不便である。

それに比べて大阪市内では重厚過ぎるほどのバリアフリー施策が進んでいる。地下鉄の駅はほぼ全駅がエレベーターの設置を終えており、車椅子での利用者への体制も整っている。だいたい市内は広い歩道が取られており、車椅子の移動に配慮した街になっているが、特に完璧なのが浪速区某所の旧同和地区の環境だ。

危ない踏切もないし、広い歩道は自転車の違法駐輪も危険自転車の数も少ない。考えようによっては、身体障害者が生活するのに一番適している場所のように思える。

現在、地区離れが進みゴーストタウン状態のこれらの旧同和地区を「高齢者居住特区」にして、希望者を募って移住させてみてはどうか。それらの資金も介護保険の中から工面するなりできないだろうか。

もちろん自治体間での連携も必要なため簡単な話ではないだろうが、ハコモノだらけの旧同和地区を極力活用するためには、自治体の壁を超えてでも利用方法を検討する価値も十分にあるのでは?

西成釜ヶ崎を抱える上、ただでさえ福祉負担が激増する大阪市政で、これ以上受け入れ態勢を増やすのは無理という話もあるが、これも国レベルで動いて、特区として機能させる手段を考えるのである。

旧同和地区はもはや運動団体の利権の種やプロパガンダのために存在するものではない。せっかく整えられたインフラを無駄にはせず、ハンデを持つ全ての市民に開放すべきだ。